【事例紹介】SAP管理会計(CO)領域のシステム・業務改善支援
はじめに
本記事では、日系大手製造業における管理会計(CO)領域のシステム・業務改善プロジェクトの支援実績をご紹介します。
「原価差異の可視化」「製造間接費の適正配賦」「財務会計との整合(財管一致)」をキーワードに、SAPの設定変更と業務運用見直しを組み合わせた支援を行っています。
プロジェクト概要
クライアント情報
- 業種:製造業(連結従業員数 約6,000名)
- 対応モジュール:CO(管理会計)、FI(財務会計)
- 支援体制:5名規模のコンサルタントチームにて支援(業務・技術支援)
担当業務と支援内容
原価差異の分析と改善支援
- 購入価格差異や製造原価差異の定量分析
- 原価管理区分・評価バリアント(OKY8)の設定見直し
- 標準原価の積み上げ(CK40N)のロジック調整
製造間接費(OH)の設定・配賦最適化
- OH費配賦構造(KZS2/KZZ2)の更新
- 統計キー(KK01, KP46)のメンテナンス
- 原価要素グループ(KAH1)と配賦周期設定(KSU1〜6)の最適化
賃率構造の見直し
- 標準賃率(KP26)と実際賃率(KBK6)の妥当性検証
- 活動タイプの見直し(KL02)、再計算(CON2)
- 原価センタ別レポート(S_ALR_87013611)での差異分析
CO月次処理の自動化と標準化
- 指図決済業務の一連の流れ:
- 間接費計算(CO43)
- 仕掛品計算(KKAQ)
- 差異計算(KKS1)
- 決済処理(CO88)
- 受注決済(VA88、KKAK)
- 月次プログラムの見直し:
SM36
,SM37
,SE38
,SCMO
財管一致の実現に向けた構造改革
- COPAの設定調整(KEA0〜KEA6、KEI1、KEDR)
- FI/COの整合に向けた**レポートペインター(GR55, GRR3)**とカスタムトランザクション作成(SE93)
現場での工夫と成果
- 業務部門との連携により、「なぜこの差異が発生するのか?」を現場レベルで可視化
- システム設定だけでなく、業務運用やデータ入力の習慣まで含めて再設計
- 財務会計・管理会計の「構造」や「粒度」のズレに対して、部門横断で調整提案を行い、定量的な財管一致に貢献
まとめ
本プロジェクトでは、COモジュールにとどまらない視野で、原価管理・配賦・レポート分析・自動化まで一貫して支援しています。
特に、月次処理における属人性を排除し、「誰が見ても納得できる管理会計の仕組み」を現場主導で構築できた点が大きな成果となりました。
今後も、「SAP × 業務 × 数値」をつなぐ支援を通じて、経営の見える化と現場の納得感の両立を支えていきたいと考えています。